SRHR(性と生殖に関する健康と権利)
- Tucksky
- 2023年5月10日
- 読了時間: 4分
更新日:2023年5月31日
SRHRとは、性と生殖に関する健康と権利を指します。これには、性教育、性感染症の予防、避妊、妊娠の計画と管理、人工妊娠中絶、出産、産後ケアなどが含まれます。これらに関する知識は、人々が健康で自由な性生活を送るために重要な役割を果たしています。

Sexual and Reproductive Health and Rights
産業革命以降、地球上の人口は急激に増加しています。急激な人口増加が貧困や食糧不足などの問題を引き起こす要因になり得るため、1970年ごろから、人口増加が続く地域では「人口抑制」が行われるようになりました。
しかし、本来、子どもを産むかどうかは、誰かに強制されるものではないものであり、人口抑制の実施については、長い間議論されていました。
そんな中、1994年にカイロで開催された国際人口開発会議(ICPD・カイロコンセンサス)で、初めて公式にリプロダクティブ・ヘルス &ライツ(RHR)という概念が提唱されました。そして、子どもを産む、産まない、子どもの人数など、家族規模に関しては、個々の選択に依存するとの認識が示されました。
それ以降、性と生殖に関する正しい知識を持ち、正しい選択ができるような教育と啓発活動が活発に行われるようになりました。
SRHRは生活の一部
SRHRは次の権利を含んでいます。
性病や感染症の予防、妊娠や出産に関する情報、安全な性行為の方法など、自分の身体や性的関係について情報を得ること、自分自身を健康的な状態に保つことができる権利
個人が自分の性的関係について自由に選択する権利
性的指向やジェンダーに関する偏見や差別をなくし、個人が自分自身のアイデンティティや関係性を自由に選択できる権利
個人が自分自身や自分の家族の生殖について意思決定を行う権利
人々が性的暴力や虐待から守られる権利を含みます。性的暴力や虐待を受けた場合には、適切な支援を受けられる権利
SRHRは、個人が自分自身の身体や性に関する意思決定を自由に行い、健康的な関係を築き、自己実現を図ることができるようにするための権利です。
これらの権利は、私たちが他者と生きることと密接に関係しています。
また、SRHRへの理解はキャリア開発においても非常に重要です。性感染症によって長期療養が必要となったり、妊娠によって現在の仕事を続けられないなど、進路決定やキャリアの選択をする際にSRHRが関係する場面はたくさんあります。
個人が自己決定を行う上で、SRHRへの理解は不可欠な要素といえます。
SRHRへの理解不足が招く問題点
性感染症の拡大
性行為において適切な予防策を講じることができない場合、性感染症のリスクは格段に高くなります。また、正しい性感染症に関する知識がない場合、症状に気が付かずに別の誰かに感染させてしまったり、治療やケアが遅れて症状が悪化してしまうことがあります。
セクシャルハラスメントや性暴力
世界中で、女性の3人の内1人が生涯のうちに1回以上、性的な暴力(ハラスメントを含む)を受けています。加えて、男性が被害者となるケースも増えています。中には悪質なケースもありますが、その多くは、「このくらいなら良いだろう」、「付き合っているから当たり前」、「昔から慣習だから」など、本人の基準による軽率な判断がきっかけとなっています。
妊娠の計画や管理の難しさ
SRHRについての適切な知識がない場合、妊娠の計画や管理について誤解が生じる可能性があります。適切な避妊方法を知らない場合、意図せず妊娠する可能性が高まります。また、人工妊娠中絶に関しての偏見や制限がある場合、安全で合法的な医療サービスを受けることができなくなることがあります。
学校や職場での偏見や差別
SRHRへの理解不足が、自分や他者への偏見や差別に繋がることがあります。適切なセクシャルエデュケーションが行われていない場合、個人が自分の権利を守り、差別に反対することが困難になる可能性があります。
適切なSRHR教育は、自分も相手も大切にしながら生活をすることに繋がります。
正しい知識が身につくと、健康な性生活を楽しめる人が増えます。
参考文献
WHO News Release Devastatingly pervasive: 1 in 3 women globally experience violence https://www.who.int/news/item/09-03-2021-devastatingly-pervasive-1-in-3-women-globally-experience-violence
国際人口開発会議+5
https://www.unic.or.jp/files/icpd.pdf