偏差値に替わる人物評価の必要性
- Tucksky
- 2023年5月15日
- 読了時間: 6分
更新日:2023年5月31日
日本の教育では、偏差値教育と呼ばれる成績上位者を優遇する教育が行われています。
この教育方式には多くの批判があります。その理由は、偏差値教育が社会に深刻な影響を与えているからです。

偏差値教育の全てが悪いわけではありませんが、偏差値に頼り過ぎた結果、人生のターニングポイントで適切な選択ができない、偏差値による評価と偏差値以外の評価の違いを受け入れることが難しくなるなど、学生期以降の生活に影響を与えることがあります。
学問や職業選択のミスマッチ
偏差値教育は、教育を受ける者の学力に応じた分類を行っています。成績上位者には優れた教育機会が与えられますが、成績下位者は教育の機会が制限されます。このため、成績下位者は、自分が望む教育機会を受けることができない場合があります。
ある高校では、偏差値の高い生徒に対して特定の大学や学部への進学を進める進路指導が行われています。ある中学校では、どの高校を受験するかは自由であるにもかかわらず、テストの成績に応じて、〇番まではA高校、□番まではB高校というように、成績順に受験校を決める風潮があります。このような進路選択をした結果、学問や職業のミスマッチが起こりやすくなっています。しかし、そのミスマッチに気が付くのは何十年も先のことです。
偏差値で測ることができるのは、あくまでも「学力」のみです。偏差値では、その学力をいかす力を測ることはできません。
学力の偏り
偏差値教育が学力に偏りを生じさせることがあります。例えば、算数や国語などの基礎的な教科は、他の教科に比べて偏差値が高いことが多く、その教科のみに特化した学習をしていると、他の教科の学力が低下することがあります。逆に、偏差値の低い教科の偏差値を上げるための学習をすることによって、偏差値が高い教科の偏差値が下がることもあります。
また、偏差値に関係のない学習内容に関する知識や経験が身につかないという現象が起こります。
真の学力の低下
本来、学習は学んだ知識を生活に役立て、生活をより良いものにするためにあるものです。しかし、現代では、良い学校へ行くために勉強をする子どもが増えたと感じます。これは、偏差値によって学校がランク付けされ、その学校に通うことで、その子どもや家庭も同じようにランク付けされると感じる方が多いと私は分析しています。そのため、学力よりも偏差値を上げることに最大の労力が割かれ、学習の成果をどのようにいかすのかを学ぶ機会はほとんどありません。そのため、勉強はできるけれど社会性の身についていない大人が量産される状況となってしまいました。
このような反省もあって、今後は人間力を育む教育が主流になると予想されます。実際に、中学受験、高校受験、大学受験、それぞれのステージで、学力以外の部分を評価する選抜方法が増えています。
偏差値教育から人物評価へ
限られた人しか高等教育を受けられなかった時代には、偏差値教育は妥当なものであったと考えられます。しかし、様々な技術が発達し、多様性が求められる現代においては、学力しか測定できない偏差値教育は見直しを迫られることになると思います。
偏差値教育に代わるもの。それは総合的な人物評価です。
人をただの点数や成績だけで評価することはできません。偏差値教育では、学力のみが重視され、そのために学生たちはそのための勉強にばかり時間を割かれることになりました。
しかし、人間の能力や価値は学力だけではなく、様々な面から評価されるべきものです。
偏差値教育によって、上位の学校に行くことが目的化され、そのために高額な予備校や塾に通うことが常識化されました。しかし、教育はただ上位の学校に入るためだけのものではありません。本来、子どもたちが、自分自身が興味を持ち、やりたいことに挑戦し、自己実現を追求することができるような機会であるはずです。
その機会にどのように参加し、どのように対応する(した)かによって、学力以外のスキルが身につき、その人を形作ります。その過程や結果を評価する総合的な人物評価が、今後は必要とされると感じています。
なぜ偏差値教育から抜け出せないのか
実際には、多くの人たちが偏差値教育に疑問を抱いています。しかし、実際には偏差値教育から抜け出せない現状があります。
偏差値教育は、ある意味で公平なシステムです。
この学校は偏差値70以上の人が通う所です。こちらは偏差値75以上の人が通う所です。といったように、偏差値によって事前に選抜を行うことができます。また、生徒を管理する側としても、偏差値によってクラス分けをしたり、志望校の目標設定をしたりと、何かと便利な指標として使うことができます。
もし偏差値を使わずにこれらのことを行うとどうなるでしょうか。多くの人は、客観的に評価されていないと感じるでしょう。また、適切な進路指導ができず、教員の負担が増えるでしょう。このような理由から、偏差値教育から抜け出すには時間がかかると予想できます。
多様性を求める社会に沿った多様な評価基準
偏差値教育は、子どもたちを成績競争のみに集中させ、それによって人間的な成長や発想力、創造力などの育成がおろそかになっている現状を生み出しています。そのため、将来的に必要とされるソフトスキルやコミュニケーション能力、チームワーク、問題解決能力などが欠如したまま大人になってしまう危険性があります。
社会は多様性を受け入れる方向へ進んでいます。子どもたちが自己実現を追求し、多様な価値観を持った社会人として成長するために、学力だけでなく、多様なスキルや能力を身に付けることが必要であるということです。このような社会においては、教育にも多様な評価基準が必要です。
教育現場においては、偏差値にとらわれることなく、学生たちが自分自身が興味を持ち、自己実現を追求できるような教育を提供することが求められます。
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